こっちを見ているカマキリ

夏が終わり秋が近づくと、カマキリの雄はエサや交尾相手を探して、飛び回るためカマキリをよく見かけます。

道端で見つけたカマキリを観察していると、


「カマキリと目が合うんだよな~」
「えっ、こっち見てる!」


などと感じたことありませんか?

たしかに、カマキリの目に、人間の瞳孔らしき黒い点があり、その黒い点がこっちを向いているように見えますよね!

さらにカマキリを見る角度を変えてみても、その黒い点はこっちを向いています。

「絶対にコッチを見てる!」と思うかもしれませんが、実はそれ、こっちを見ているわけではなく、カマキリの目の構造に理由があるんです!

そこで今回の記事では、カマキリと目があっていると錯覚してしまうメカニズムを、カマキリの目(複眼)の構造を解説しながら分かりやすくご説明します。

カマキリの目の構造について理解する 瞳孔のように見えるのは偽瞳孔

カマキリの目は複眼と呼ばれる個眼がなんと数万個も集まってできたもので、そのひとつひとつが六角形の筒状になっているのです。

下の図を見てください。

カマキリの複眼の構造と偽瞳孔の図解

先程も言いましたが、上の図のように、カマキリの目は筒状の個眼が無数に集まってできています。

カマキリと目が合っているように感じるのは、この目の構造に秘密があります。

カマキリがこちらを見ているのではなく、見ている側のわたしたちから見て、この筒状の目の奥が見えている一部の個眼だけ光の反射がないので黒く見えており、その他の部分の個眼に関しては光の反射の関係で透き通って見えるのです。

そして、その黒く見えている部分が人間の瞳孔のように見えるのでコッチを見ているように感じるんですね。

この人間の瞳孔のように見える黒い点のことを偽瞳孔(ぎどうこう)といいます。

どの角度から見ても、カマキリの目に見える黒い点が、こっちを向いているのは、そういう理由からなんです。

決して、こっちを睨みつけているわけではありません(笑)

実はカマキリの目は5つある!モノを見る目と光を感じる目

今回の記事は、カマキリの目に関する記事なので、カマキリの目についてもうひとつお話しておきましょう。

別記事「蝉の目は5つあるってホント?蝉の目の数とそれぞれの役割について解説」で、セミの目は5つあるということをご説明しましたが、カマキリもセミ同様に目が5つあります。

カマキリには、前述した通り複眼と呼ばれる個眼が集まってできた複眼が2つあります。

「じゃあ、残りの3つの目はどこにあるの?」と思いますよね。下の画像をご覧ください。

カマキリの単眼と複眼

大きく目立つ2つの複眼の、間に小さな3つの点があるのがお分かりいただけると思います。

これが、単眼と呼ばれる光を感じるための目で、複眼がモノを見る目なのに対して、この個眼は光を感じとるセンサーの役割をしているんです。

夜になるとカマキリの目がまっ黒に!その理由について解説

夜になって、目が真っ黒になったカマキリの画像

カマキリを捕まえて家で観察していると、夜になって、カマキリの目がまっ黒になっているから、驚いた経験はないですか?

昼間は、透き通ったレンズのような目に、黒い点(偽瞳孔)が見えるだけですが、夜になると一変してカマキリの目がまるでサングラスでもかけているように、まっ黒になります。

これは、カマキリが夜になり暗くなったため多くの光を集めるため、複眼内の筒状の目を開けているからなんです。

つまり、昼間は点にしか見えない偽瞳孔が複眼全体に広がっているということです。

偽瞳孔はカマキリだけじゃない トンボにもカマキリ同様の偽瞳孔がある

身近な昆虫、トンボの目もカマキリ同様の仕組みになっており、偽瞳孔を見ることができます。

トンボの偽瞳孔は、こちらがトンボを見る角度にもよりますが、カマキリの偽瞳孔より大きく見えます。

その関係で、トンボの場合は少し可愛く見えます。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回の記事では、カマキリと目が合っているように錯覚するメカニズムを、カマキリの複眼の構造を踏まえてご説明させていただきました。

実は、カマキリと目が合っているわけではない、ということがお分かりいただけたかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。