日本に生息するトンボは、多種多様であり、それぞれに特徴があります。
トンボは、昆虫の仲間であり、成虫は美しい羽と大きな目が特徴的です。また、幼虫は、水生昆虫であり、水中での生活が長いため、呼吸に必要な鰓を持っています。
日本には、約200種類のトンボが生息しており、その中でも特に代表的なトンボは、オニヤンマ、アカギハダニトンボ、リュウキュウヤンマ、アキアカネ、キタキチョウトンボ、サナエトンボなどです。
それぞれのトンボは、特徴的な色合いや模様、生息地や生態があり、これらのトンボは自然環境にとって重要な存在であり、その保護が必要とされています。
今後も、トンボの生態や保護についての研究が進むことで、トンボの生息地や生態系の維持がより重要視され、人々の自然環境保護意識の高まりにもつながるでしょう。
日本に生息するトンボ 代表的な種類とその特徴について
日本に生息するトンボの種類は先程も申し上げた通り約200種類とされています。
トンボは昆虫の中でも古い仲間で、約3億年前から地球上に存在していると考えられています。トンボは成虫になるまでに幼虫と呼ばれる水生の段階を経て、羽化して飛び立ちます。
トンボの種類は、主に翅(はね)の形や色、模様、体の大きさなどで区別されます。日本に生息するトンボの中でも特に有名なものや珍しいものをいくつか紹介しましょう。
日本最大のトンボ オニヤンマ
オニヤンマは、日本最大のトンボで、体長は約10cm、翅の長さは約15cmにもなります。オニヤンマ科に属し、学名はAnotogaster sieboldiiといいます。この学名は、日本の生物を研究したシーボルトにちなんで名付けられました。
オニヤンマの特徴は、黒い胴体に黄色い斑点があることや、頭部が大きくて目が隆起していることです。また、翅は透明で、前翅と後翅の形がほとんど同じです。オニヤンマは飛ぶ力が強く、時速40km以上で飛びます。空中で静止したり、後ろに飛んだりすることもできます。
オニヤンマの生態は、成虫になるまでに約4年かかります。幼虫は水中で暮らし、小魚やカエルなどを捕食します。成虫になったオニヤンマは、水辺から離れて山間部や森林などで活動します。他のトンボや昆虫を捕食し、自分の縄張りを守ります。オニヤンマは夏から秋にかけて見られますが、気温が低くなると冬眠します。
オニヤンマは日本だけでなく、アジアやオセアニアの一部にも分布しています。しかし、開発や汚染などによって生息地が減少しており、絶滅危惧種に指定されています。オニヤンマは日本の自然の豊かさを象徴するトンボです。私たちはオニヤンマを守るために、環境保護に取り組む必要があります。
オニヤンマの特徴
日本最大のトンボであるオニヤンマは、世界的に見ても大型のトンボの仲間です。
オニヤンマは、水辺の草むらや林の中で見かけることができますが、特に水田や湿地などに多く生息しています。オニヤンマは、狩りの名人でもあり、小さな昆虫から他のトンボまで様々な獲物を捕食します。
オニヤンマは、秋になると南へ渡りを始めますが、その距離は1000km以上にも及ぶと言われています。オニヤンマは、日本のトンボの中でも最も優れた能力を持つトンボと言えるでしょう。
オニヤンマの分布
日本最大のトンボであるオニヤンマは、日本全国に広く分布していますが、特に北海道や東北地方に多く見られます。オニヤンマは水辺の植物に卵を産むため、湖や沼、川などの水域が豊富な場所を好みます。
夏の風物詩 チョウトンボ
チョウトンボは、日本では夏の風物詩として親しまれているトンボの一種です。その美しい羽は、青紫色の金属光沢を放ち、まるで蝶のように見えます。
しかし、チョウトンボは蝶とは全く違う生き物で、トンボ科に属する昆虫です。この記事では、チョウトンボの特徴や生態、分布などについて紹介します。
チョウトンボの特徴
チョウトンボは、体長が20-25mmほどの小型のトンボです。翅はつけ根から先端部にかけて黒くなっており、前翅は細長く、後翅は幅広い形をしています。
翅の色は青紫色で、光の当たり方によって変化します。翅には強い金属光沢があり、まるで宝石のように輝きます。腹部は細くて短く、黒色です。頭部は赤茶色で、目は大きくて赤いです。
チョウトンボの生態
チョウトンボは、日本では6-9月に出現します。羽化は6月中旬から始まります。チョウトンボは水辺に住むトンボですが、水面から離れた場所でも見られます。
チョウトンボは飛ぶことが得意で、素早く動き回ります。食性は肉食性で、小型の昆虫を捕食します。チョウトンボは縄張り意識が強く、同じ場所を何度も巡回します。他のトンボや鳥などの敵から自分の場所を守ります。
チョウトンボの分布
チョウトンボは、日本では本州から九州まで広く分布しています。北海道や沖縄では見られません。また、アジアやオーストラリアなどの暖かい地域にも分布しています。
チョウトンボは水辺に住むトンボですが、水質や水量にあまりこだわりません。池や沼だけでなく、川や用水路などでも見られます。都市部や農村部などでも生息しており、人間との共存が可能なトンボです。
チョウトンボは、日本の夏を彩る美しいトンボです。
その羽の色や光沢は、多くの人々を魅了してきました。チョウトンボは小さくて素早い動きをするため、観察するのは難しいかもしれませんが、水辺に行けば見つけることができるでしょう。チョウトンボを見るときは、その姿をじっと眺めるだけでなく、その生態や分布などにも
オオルリボシヤンマ
オオルリボシヤンマは、ヤンマ科ルリボシヤンマ属に分類されるトンボの一種です。
学名はAeshna crenata Hagen, 1856で、日本固有種とされていましたが、DNA解析などにより、Aeshna crenataに含められるようになりました。オオルリボシヤンマは、体長が約7cm、翅長が約5cmと、ルリボシヤンマ属の中では最大種です。
胸部は黒色で、緑色の斑紋があります。腹部は青色で、第3-6節の前半に細い淡色帯があります。雄は腹部先端が黒色で、雌は腹部先端が茶色です。
オオルリボシヤンマの分布
オオルリボシヤンマは、北海道から九州までの日本各地に分布し、山地の森林や草原に生息します。水辺ではなく、陸上で活動することが多く、飛翔力が強くて速いです。
主に昆虫を捕食し、自分より大きなトンボやバッタなども食べます。繁殖期は8月から9月で、雌は水辺の植物に産卵します。幼虫は水中で育ち、2年から3年かけて成虫になります。
絶滅が危惧される日本で最も美しいトンボ オオルリボシヤンマ
オオルリボシヤンマは、日本のトンボの中でも特に美しい種類の一つとして知られています。
しかし、近年では開発や環境汚染などにより生息地が減少しており、絶滅危惧種に指定されています。オオルリボシヤンマを観察するには、季節や時刻を選ぶことが重要です。
一般的には8月下旬から9月頭の午後が最適で、活動が最も活発になります。オオルリボシヤンマは人間に対して警戒心が強くて逃げやすいので、静かに近づいて観察することが必要です。
ウスバキトンボ
ウスバキトンボは、トンボ科ウスバキトンボ属に属するトンボの一種です。学名はPantala flavescensといい、英語ではWandering GliderやGlobe Skimmerと呼ばれます。
このトンボは、全世界の熱帯・温帯地域に広く分布する汎存種であり、日本では春から秋にかけて見られますが、冬には姿を消します。
ウスバキトンボの特徴
ウスバキトンボの特徴は、その羽の色と形です。羽は薄くて透明で、黄色や茶色の斑紋があります。また、羽の先端は尖っておらず、丸みを帯びています。このような羽の形は、長距離飛行に適していると考えられています。
実際、ウスバキトンボは非常に強力な飛行能力を持ち、海を越えたり大陸間を移動したりすることができます。ウスバキトンボは、世界で最も長い移動距離を記録した昆虫としてギネスブックに登録されており、インドからアフリカまで約14000キロメートルも飛んだことが確認されています。
ウスバキトンボの生態
ウスバキトンボの生態は、その飛行能力に関係しています。ウスバキトンボは水辺に住むトンボと違って、乾燥した草原や農地などに多く見られます。
これは、水辺では競争が激しいために避けていると考えられています。また、ウスバキトンボは水面に産卵するのではなく、水たまりや湿った土に産卵します。
幼虫は水中ではなく土中で育ちますが、水分が不足すると死んでしまうため、雨季に合わせて発生します。成虫になったウスバキトンボは、乾季になると別の地域へ移動します。このようにして、ウスバキトンボは環境の変化に適応して生き残っているのです。
ウスバキトンボは、その分布範囲の広さや飛行能力の高さから、生物多様性や気候変動の研究対象として注目されています。また、ウスバキトンボは人間とも関わりがあります。
例えば、インドではウスバキトンボが多く見られる時期に雨が降るという言い伝えがあります。
また、中国ではウスバキトンボを食用にしたり薬用にしたりすることもあります。ウスバキトンボは、私たちの身近な昆虫でありながら、まだまだ知られていないことが多い不思議な生き物です。
ギンヤンマ Anax parthenope
ギンヤンマとは、ヤンマ科ギンヤンマ属に属するトンボの一種です。
学名はAnax parthenopeで、日本では本州から九州までの各地に分布しています。ギンヤンマは日本で最も大きなトンボの一つで、成虫の体長は約8-9cmになります。
.特にオスの腹部は青色に光り、空中で華麗に舞います。この記事では、ギンヤンマの特徴や生態、見かける場所や季節などについてご紹介します。
ギンヤンマの特徴
ギンヤンマは、体色や模様によってオスとメスを見分けることができます。オスは頭部から胸部にかけて緑色で、腹部は青色になります。
また、腹部の第2節から第6節までに黒い帯がありメスはオスよりもやや小さく、全体的に茶色や黄色をした地味な色合いです。腹部の第2節から第7節までに黒い帯がありますが、オスよりも幅が狭く目立ちません。
ギンヤンマは、翅(はね)の形や色も性別によって異なります。オスは翅の先端が青く染まっており、翅脈(しみゃく)も青色です。
メスは翅の先端が茶色く染まっており、翅脈も茶色です。また、オスは前翅と後翅の基部にある三角形の斑紋(ふんもん)が黒く濃いですが、メスは斑紋が淡いです。
ギンヤンマの生態
ギンヤンマは、水辺に住むトンボですが、水面から離れた場所でも見かけることがあります。これは、ギンヤンマが飛行能力が高く、広い範囲を移動するためです。
ギンヤンマは主に昆虫を捕食しますが、小型のトンボやバッタなども食べます。空中で素早く動く獲物を追いかけて捕まえることもできます。
ギンヤンマは、5月から10月頃まで成虫として活動します。
産卵期は6月から9月頃で、メスは水面近くの水草や枝などに卵を産み付けます。
卵は約2週間で孵化し、幼虫となります。幼虫は水中で育ち、昆虫や小魚などを捕食します。
アキアカネ
アキアカネは、学名でSympetrum frequensと呼ばれ、トンボ科アカネ属に分類されます。
日本では普通に見られるトンボで、俗に赤とんぼと呼ばれることもあります。狭義には、この種だけを赤とんぼと呼ぶことがありますが、実際には他の赤いトンボも存在します。
では、アキアカネの特徴や生態について、詳しく見ていきましょう。
アキアカネの特徴
アキアカネは、体長約3.5cm、翅長約3cmの小型のトンボです。成虫は全身が赤色をしており、目も赤いです。胸部には黒い縦線があり、腹部には黒い斑点があります。
雌は雄よりもやや淡い色をしています。また、雌は腹部の先端に卵管と呼ばれる突起があります。これは、産卵時に水中の植物などに卵を付着させるための器官です。
アキアカネの生態
アキアカネは、日本全国に広く分布し、池や沼などの止水域に生息します。
幼虫は水中で育ち、昆虫や小魚などを捕食します。幼虫期間は約半年で、初夏にかけて成虫になります。
成虫は飛翔力が強く、花や草などの上で休息したり、空中で他のトンボや昆虫を捕食したりします。また、成虫は季節的な長距離移動を行うことが知られています。
秋から冬にかけて南下し、春から夏にかけて北上するというパターンが一般的ですが、個体差や気象条件などによって変動することもあります。
この移動の目的やメカニズムはまだ完全に解明されていませんが、気温や食物の影響を受ける可能性が考えられます。
アキアカネの魅力
アキアカネは、日本人に親しまれてきたトンボの一種です。秋の風物詩として歌や俳句などにも詠まれています。
例えば、「赤とんぼ 飛んでる飛んでる あそこは お母さん待ってる 故郷だよ」という童謡や、「赤とんぼ 池を渡るや 夕立かな」という松尾芭蕉の句などが有名です。
トンボの絶滅の危険度と人との関わり方
トンボは、身近な昆虫のひとつであり、先程も申し上げた通り、世界に6,000種以上存在しています。
しかし、近年、トンボの数は減少の一途をたどっており、去年発表されたレッドリストでは、日本に生息するトンボの約4割が絶滅のおそれがあるとされています。
トンボの減少は、水質汚染や開発による生息地の破壊、外来種の侵入などが主な原因と考えられています。
トンボは、人間にとっても重要な役割を果たしています。トンボは、水生昆虫や蚊などの害虫を捕食することで、水域や陸域の生態系のバランスを保ちます。
また、トンボは、水質や気候などの環境変化に敏感な生き物であり、その種類や個体数から環境の状態を知ることができます。さらに、トンボは、美しい姿や飛行能力によって、人間の心を癒したり感動させたりすることもあります。
トンボと人間との関わり方は、尊重と共生が基本です。トンボは、人工飼育が容易ではないため、トンボ池には原則として放流しないことが望ましいです。
また、トンボを観察する際には、優しく扱い、必要以上に触らないようにしましょう。トンボを保護するためには、水質や水量を保つことが重要です。そのためには、水源地や湿地帯の保全や再生、水質汚染防止などの取り組みが必要です。また、トンボに関する知識や情報を広めることも大切です。