大きなオスのノコギリクワガタ

ノコギリクワガタはかっこいい水牛のような大顎(おおあご)を持っていて、子供から大人まで大人気のクワガタです。そんなノコギリクワガタですが、そんな、ノコギリクワガタですが、北は北海道から鹿児島まで日本国内に広く生息していますが、実は日本国内に生息するノコギリクワガタの種類が15種類もいることをご存知でしょうか?

特に離島産のノコギリクワガタは、本土で見られるノコギリクワガタよりも大型の種が多く、圧倒的な存在感が魅力的です。

この記事では、一般的に知られている日本本土に生息するノコギリクワガタと、独自の進化を遂げた離島産のノコギリクワガタ14種類の合計15種類をご紹介します。

ちなみに、日本に生息するノコギリクワガタはノコギリクワガタの亜種6種、アマミノコギリクワガタの亜種7種、ハチジョウノコギリクワガタ、ヤエヤマノコギリクワガタの15種に分類されます。

分かりやすく図に表すと以下のようになります。

ノコギリクワガタの種類15種を現した図

ノコギリクワガタ(Prosopocoilus inclinatus

広葉樹の木にとまっている本土産ノコギリクワガタのオスの画像

本記事冒頭でお話しした北海道から鹿児島県まで日本全土に幅広く生息しているノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus inclinatus)は、水牛のような大きく湾曲したかっこいい大顎が特徴で日本国内で生息するクワガタの中でも非常に人気の高いクワガタです。

基本的に、夜になると活発に活動しますが昼間でもクヌギやコナラなど広葉樹の樹液に集まってくることもあります。臆病な性格をしているので木を蹴るとびっくりして落ちてくることもあり、比較的、採集の難易度も低いクワガタです。

ノコギリクワガタを採集した時の動画↓

ノコギリクワガタの大きさ

ノコギリクワガタのオスの大きさは、25mm~mmほどの大きさで、メスの大きさは25mm~40mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、77.0mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、76.8mmです。

ミヤケノコギリクワガタ(Prosopocoilus inclinatus miyakejimaensis)

ミヤケノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus inclinatus miyakejimaensis)は、東京の南、伊豆諸島の新島・式根島・神津島・三宅島などに生息しているノコギリクワガタの亜種です。

ミヤケノコギリクワガタの特徴は、本土のノコギリクワガタに比べ、大顎が太く短い点や体が太い点などです。オオバヤシャブシの樹液や街灯などによく集まります。

ミヤケノコギリクワガタの大きさ

ミヤケノコギリクワガタのオスの大きさは、30mm~69mmほどの大きさで、メスの大きさは22mm~35mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のミヤケノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、69.4mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、68.4mmです。

ヤクシマノコギリクワガタ(Prosopocoilus inclinatus yakushimaensis)

ヤクシマノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus inclinatus yakushimaensis)は、鹿児島県の離島、屋久島に生息するノコギリクワガタの亜種で、同サイズの本土ノコギリクワガタと比べると、大顎が太く、下向きに大きく湾曲しているのが特徴です。

ヤクシマノコギリクワガタは、梅雨時期が発生のピークで成虫はクヌギやタブなどの樹液に集まります。

ちなみに、ヤクシマノコギリクワガタは屋久島本島にのみ生息しており、屋久島本島の西に位置する口永良部島に生息するノコギリクワガタは別の亜種です。

ヤクシマノコギリクワガタの大きさ

ヤクシマノコギリクワガタのオスの大きさは、25mm~69mmほどの大きさで、メスは22mm~35mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のヤクシマノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、69.3mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、70.0mmです。

クチノエラブコギリクワガタ(Prosopocoilus inclinatus kuchinoerabuensis)

クチノエラブノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus inclinatus kuchinoerabuensis)は、屋久島本島の西、約12㎞に位置する口永良部島に生息するノコギリクワガタの亜種です。

クチノエラブノコギリクワガタは他の離島産のノコギリクワガタにくらべ体が細長いことや体の光沢が強いこと・大顎の湾曲が弱いことなどが特徴です。

クチノエラブノコギリクワガタの大きさ

クチノエラブノコギリクワガタのオスの大きさは、28mm~72mmほどの大きさで、メスは25mm~37mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のクチノエラブノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、72.5mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、74.0mmです。

ミシマイオウノコギリクワガタ(Prosopocoilus inclinatus mishimaiouensis)

ミヤケノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus inclinatus mishimaiouensis)は、鹿児島県の硫黄島に生息するノコギリクワガタで、本土に生息するノコギリクワガタに比べて大顎が太いが、ノコギリクワガタの特徴とともいえる大顎の湾曲は弱い。

また、体の光沢が強いのも特徴のひとつです。

ミシマイオウノコギリクワガタは、人気の高いトカラノコギリクワガタやアマミノコギリクワガタに比べ流通量が少ないことから、入手が他の種に比べて困難である。

ミシマイオウノコギリクワガタの大きさ

ミシマイオウノコギリクワガタのオスの大きさは、28mm~69mmほどの大きさで、メスは25mm~35mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のミシマイオウノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、69.3mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、73.8mmです。

クロシマノコギリクワガタ(Prosopocoilus inclinatus kuroshimaensis)

クロシマノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus inclinatus kuroshimaensis)は、鹿児島県の鹿児島郡三島村、薩南諸島北部に位置する黒島に生息するノコギリクワガタの亜種です。

クロシマノコギリクワガタは、本土に生息するノコギリクワガタ(原名亜種)と非常によく似ていることから、判別が難しいのですが、体幅が全体的に太く大きさが同じノコギリクワガタに比べるとボリューム感があります。

ちなみに、このクロシマノコギリクワガタは日本に生息しているノコギリクワガタの中で、かなり気性が荒い種で常に怒っているので、飼育する際は挟まれないように注意しましょう。

クロシマノコギリクワガタの大きさ

クロシマノコギリクワガタのオスの大きさは、30mm~72mmほどの大きさで、メスは25mm~40mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のクロシマノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、72.0mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、74.0mmです。

アマミノコギリクワガタ(Prosopocoilus dissimilis)

アマミノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus dissimilis)は、別名リュウキュウノコギリクワガタと呼ばれることもある、日本最大のノコギリクワガタで、野外でも80.0mmを超える個体も採集されております。

アマミノコギリクワガタは、鹿児島県、奄美大島・トカラ列島・沖縄諸島に生息しており特に奄美大島に生息する個体は大型のものが多いです。

同種の特徴は太く大きな大顎で、大顎の中心付近に第一内歯があり、大あご先端近くに前方に向いた大きい小歯がありとてもかっこいいです。

また、同種は比較的短命ののノコギリクワガタの中では、2年以上も生きたという事例がいくつか報告されており、ノコギリクワガタの中では長寿の種である。

アマミノコギリクワガタの大きさ

アマミノコギリクワガタのオスの大きさは、25mm~80mmほどの大きさで、メスは25mm~40mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のアマミノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、80.5mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、82.1mmです。

トカラノコギリクワガタ(Prosopocoilus dissimilis elegans)

木にとまっているトカラノコギリクワガタのオスの画像

トカラノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus dissimilis elegans)は、鹿児島県のトカラ列島(口之島・中之島・諏訪之瀬島・悪石島・臥蛇島)に生息するノコギリクワガタで、その体の色が特徴的なオレンジ色をしていることから日本一美しいクワガタとして非常に人気の高いクワガタです。

残念ながら同種は平成16年6月22日に施行された十島村昆虫保護条例により、採集禁止となっていますので島内での野外採集は出来ません。手に入れるには条例が施行される以前に採集した個体で繁殖した個体を購入するしかないです。

詳しくは⇒十島村昆虫保護条例

トカラノコギリクワガタの大きさ

トカラノコギリクワガタのオスの大きさは、27mm~74mmほどの大きさで、メスは27mm~35mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のトカラノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、74.2mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、76.6mmです。

トクノシマノコギリクワガタ(Prosopocoilus dissimilis makinoi)

トクノシマノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus dissimilis makinoi)は、鹿児島県の徳之島に生息するアマミノコギリクワガタの亜種です。

トクノシマノコギリクワガタの特徴は太く短い体つきで、全体的に重量感があります。

全体的に原名亜種のアマミノコギリクワガタに似ているのですが、アマミノコギリクワガタが大顎の第一内歯に引っ付くように第二内歯があるのに対し、トクノシマノコギリクワガタは第一内歯から少し離れた場所(付け根側)に発達した第二内歯があるのが特徴です。

大顎の湾曲も、アマミノコギリクワガタに比べトクノシマノコギリクワガタは少し湾曲が弱いです。

トクノシマノコギリクワガタの大きさ

トクノシマノコギリクワガタのオスの大きさは、28mm~76mmほどの大きさで、メスは25mm~40mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のトクノシマノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、76.2mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、74.6mmです。

オキノエラブノコギリクワガタ(Prosopocoilus dissimilis okinoerabuanus

オキノエラブノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus dissimilis okinoerabuanus)は、鹿児島県の沖永良部島に生息するアマミノコギリクワガタの亜種です。

オキノエラブノコギリクワガタの大顎は本土産のノコギリクワガタに比べ湾曲が弱いことや、上翅の色が中心から外側に行くにつれて黒から鮮やかなオレンジ色になっている点です。

オキノエラブノコギリクワガタの大きさ

オキノエラブノコギリクワガタのオスの大きさは、27mm~64mmほどの大きさで、メスは25mm~30mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のオキノエラブノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、64.5mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、69.0mmです。

オキナワノコギリクワガタ(Prosopocoilus dissimilis okinawanus

オキナワノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus dissimilis okinawanus)は、沖縄本島・古宇利島などに生息するアマミノコギリクワガタの亜種です。

オキノエラブノコギリクワガタなどと同様に、本土産のノコギリクワガタに比べ、大顎の湾曲が弱く大型個体でも湾曲が弱いことが特徴です。

オキナワノコギリクワガタの大きさ

オキナワノコギリクワガタのオスの大きさは、30mm~71mmほどの大きさで、メスは25mm~38mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のオキナワノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、71.7mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、75.1mmです。

クメジマノコギリクワガタ(Prosopocoilus dissimilis kumejimaensis)

クメジマノコギリクワガタは沖縄本島の西に約100㎞に位置する久米島に生息するアマミノコギリクワガタの亜種です。

クメジマノコギリクワガタは、上翅の光沢が強く、大顎は太く短いのが特徴です。オキノエラブノコギリクワガタやオキナワノコギリクワガタ同様に大顎の湾曲は弱く第一内歯とほぼ同じ大きさの第二内歯が大顎根本からすぐの場所にあるのも特徴です。

クメジマノコギリクワガタの大きさ

クメジマノコギリクワガタのオスの大きさは、25mm~64mmほどの大きさで、メスは22mm~35mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のクメジマノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、64.4mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、65.9mmです。

イヘヤノコギリクワガタ(Prosopocoilus dissimilis hayashii)

イヘヤノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus dissimilis hayashii)は、沖縄県の伊平屋島に生息するアマミノコギリクワガタの亜種です。

同種はアマミノコギリクワガタの亜種のなかでは、かなり小型の種で大顎は短く湾曲も弱い。またイヘヤノコギリクワガタの上翅は光沢が強いのも特徴のひとつです。

イヘヤノコギリクワガタの大きさ

イヘヤノコギリクワガタのオスの大きさは、25mm~59mmほどの大きさで、メスは22mm~32mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のイヘヤノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、59.6mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、64.3mmです。

ハチジョウノコギリクワガタ(Prosopocoilus hachijoensis )

ハチジョウノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus hachijoensis )は、伊豆諸島の八丈島にのみ生息するノコギリクワガタで、日本に生息しているノコギリクワガタの中では最小種で、生息数が減少しており環境省によって絶滅危惧種Ⅱ種に指定されています。

また、体が小さいハチジョウノコギリクワガタは、ノコギリクワガタの特徴である大顎の湾曲も小さい。

ハチジョウノコギリクワガタは、他のノコギリクワガタのように樹液に集まることがなく現在でも野生での食生活が明らかになっていない。また、他のノコギリクワガタと違い同種は土に潜る習性があります。

ハチジョウノコギリクワガタの大きさ

ハチジョウノコギリクワガタのオスの大きさは、27mm~59.2mmほどの大きさで、メスは23mm~35mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のハチジョウノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、59.2mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、60.7mmです。

ヤエヤマノコギリクワガタ(Prosopocoilus pseudodissimilis

ヤエヤマノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus pseudodissimilis)は、沖縄県の八重山諸島(西表島・石垣島)に生息するノコギリクワガタです。同種は台湾産のタカサゴノコギリクワガタの亜種であると考えられていたが、研究が進み現在では別種とされている。

ちなみに石垣島において、ヤエヤマノコギリクワガタは種の保存の観点から2015年以降、採集が禁止となっています。詳しくは⇒石垣市自然環境保全条例

ヤエヤマノコギリクワガタの大きさ

ヤエヤマノコギリクワガタのオスの大きさは、22mm~mmほどの大きさで、メスは20mm~35mmほどの大きさです。

ちなみに、2023年1月現在のヤエヤマノコギリクワガタの野外採集レコード(野外で採集された個体の最大サイズ)は、63.5mmで、飼育下でのレコード(飼育下で羽化した成虫の最大サイズ)は、63.3mmです。

まとめ

いかがいたしましょうか?

一般的にノコギリクワガタといえば日本の本土に幅広く生息しているノコギリクワガタを思い浮かべますが、日本には鹿児島・沖縄県・東京都の離島などに多くのノコギリクワガタの仲間が生息しています。

クワガタが好きな方にとっては興味深かったのではないでしょうか?

ちなみに、ノコギリクワガタだけでなく、ヒラタクワガタも同様に多くの種が鹿児島・沖縄などの離島を中心に生息しています。日本に生息するヒラタクワガタについては以下の記事でご紹介していますので、よかったら合わせてご覧になってみてください。